こんにちは!薬剤師医大生のハスツー山瀬です!
肉芽腫と肉芽組織は、医学用語としてよく似ていますが、まったく異なるものです。簡潔にいうと、肉芽組織は組織の修復過程でできる「良いもの」で、肉芽腫は慢性炎症によってできる「悪いもの」です。
この記事では両者の違いについてわかりやすくまとめていきますので、大学での勉強等に役立てていただけますと幸いです!
- 肉芽腫とは
- 肉芽組織とは
- まとめ
肉芽腫とは
肉芽腫は、細菌や異物などが体内に長期間残ったことで、免疫細胞が集まり塊を作ったものです。これは、体が異物を完全に排除できないときに、それを閉じ込めてそれ以上広がるのを防ごうとする防御反応の一種です。
【構成要素】
- 類上皮細胞:マクロファージが変化した細胞で、肉芽腫の中心を形成する。
- 多核巨細胞:複数の細胞が融合してできた巨大な細胞で、異物を貪食する。
- リンパ球:塊の周囲を取り囲み、炎症をコントロールする。
【形成される疾患】
- 結核
- サルコイドーシス
- クローン病 など
肉芽腫は、これらの病気の診断の重要な手がかりとなります。病理検査では、この肉芽腫があるかどうかを確認することで、病気を特定することが多いです。これは、体が異物と戦っている証拠ですが、その結果としてできる構造物なので、病的な状態といえます。
肉芽組織とは
肉芽組織は、怪我や炎症が治る過程で失われた組織を埋めるために一時的に作られる、新生組織のことです。体の中の組織は傷つくとまず血液や線維で固まり、その後、新しい血管と線維芽細胞が入り込んでこの肉芽組織を形成します。
【構成要素】
- 新生血管:毛細血管が豊富。肉芽組織が赤くブツブツして見えるのはこのため。
- 線維芽細胞:コラーゲンなどの線維を作り、組織の土台を形成する。
- 炎症細胞:マクロファージなどが含まれ、死んだ細胞や異物を排除する。
【役割】
- 創傷の治癒を促進する。
- 感染を防ぐ。
- 新しい組織の足場となる。
肉芽組織は傷口をふさぎ、新しい皮膚や組織が再生するための「仮設工事現場」のようなものです。傷口ができてから約4-5日後には本格的な形成が始まり、数週間にわたって傷口を埋めていきます。
治療が順調に進んでいるサインなので、基本的には良いものとされています。
まとめ
特徴 | 肉芽組織 (Granulation Tissue) | 肉芽腫 (Granuloma) |
役割 | 傷の修復、組織再生 | 異物の隔離、慢性炎症 |
構成 | 新生血管、線維芽細胞 | 類上皮細胞、多核巨細胞 |
状態 | 生理的な治癒過程 | 病的な炎症反応 |
例 | 傷が治る途中の盛り上がり | 結核やサルコイドーシスの病変 |
肉芽組織と肉芽腫は、名前が似ていますが、その役割や病的な意味合いはまったく異なります。
肉芽組織は、再生のためのプロセスであり、私たちの体が持つ自然な治癒力の一部です。一方、肉芽腫は、慢性炎症の結果として形成される病的な構造物であり、特定の病気のサインとなります。
以上、「肉芽腫と肉芽組織の違い」でした!
いかがだったでしょうか? 少しでも皆さんの学習に役立てれば嬉しいです☺
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
【参考文献】
- 医療情報科学研究所 編著, 「病気がみえる vol.14 皮膚科 第1版」, メディックメディア, 2025年